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『戦艦陸奥』のうち、
有名な長編「太陽黒点」だけを先に読みました。
いろいろと賛否両論ある作品なので、
さあどんな感じなんだろうともうドキドキでした。

ここからはネタバレを前提に書いていますので、
未読の方はご注意下さい




して感想は…

な ん と い う 問 題 作 だ … !

殺人計画が問題だという意味ではありません。
この計画がありえないとか非現実的だと言う理由で
作品の評価を落とす人がいるようですが、
たとえ非現実的であろうが
この遠隔殺人はあの戦争の寓喩そのものとして
描かれているので私個人としてはOKでした。


さて、問題は、真犯人の注目すべき動機。
誰カガ罰セラレナケレバナラヌ」という
動機の何という凄まじさ。むなしさ。…
どん詰まりの果ての理不尽な計画、
「あの犠牲は何だったのか」という、誰かに
責任を被せてしまわなければ報われない魂の、何という絶望感。
この動機について、私は傑作としたい。
ラストに、「ただのヤキモチだったのかもしれない」と
ある通り、非常に動機が偏っていて、復讐の対象も
理不尽であり独りよがりなので、
この非常に個人的な動機が、作品の好き嫌いを分ける所
なんじゃないかなあと思います。


ただ、ちょっと構成に気になる部分が(汗)
読んでいる途中、特に明の視点から容子の視点に移った時、
視点がばらけている印象がありました。
二人の恋愛劇がこの物語そのものに仕掛けられた
大きなトリックなんですが、
個人的には明、容子の物語は三人称形式で、
最後の犯人の独白は一人称で語って欲しかった。
構成に関しては、「誰にも出来る殺人」、「棺の中の悦楽」
など他作品の方が上のような気がします。


私はこの「太陽黒点」というタイトルが
とても好きで、その意味合いを調べてみたら、
谷口基氏の
「山田風太郎『太陽黒点論』最後の〈敗戦小説〉」
という評論に、

ー真犯人の犯行と心理を跡付け、
「特攻隊という「神々」の〈青春図〉を
戦後の時空に模倣することで、
その〈神性〉を地に墜とす〈神殺し〉」(一部抜粋)

という考察が。
古来から太陽は「神」として崇められることから、
戦時中の日本=太陽と置き換え、
その美しい「太陽」の<神性>を地に墜とした
痕だから「太陽黒点」なのかなあ、と解釈してみました。
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SKIN:Babyish-
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