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私は基本的に山風作品はマイナー好みなんですが、
なかでも偏愛しているのが短篇『剣鬼喇嘛仏』。
ほかに傑作がいくつもあるだろ、なんでこれなんだと
言われそうですが、
とりあえずね、『八犬伝』みたいな神降臨してる作品とは別に
もう山田自身が菩薩に見えちゃったんだよ。
オオゲサに言いましたが、
ぜんぶを達観してる山田が見えたと言った方が適切ですね(笑)


もうさすが筒井康隆先生が絶賛しただけありますよ。
剣豪小説でありながら、一方で恋愛小説顔負けの男女論を展開してみせ、
冒頭の吉川英治パロディからそこまで読者に違和感なく読ませる技術に
改めて感服します。


『剣鬼喇嘛仏』は、吉川英治に対する挑戦、史実との冥合、奇想、
作品の寂寥感がすばらしいんだけど、私はその中でも
ラストの急展開にとにかく胸を打たれました。
オチの何とも言えない哀しさが一気に胸に込み上げて、
もうどうしようもないほど切ない。
その辺の恋愛小説が一生懸命描こう描こうとしているものを、
こんな奇抜な形で表現してしまえる凄さ。



私は風太郎は純愛小説家だとも思っているので、
今作も恋愛小説と剣豪小説の融合として読んでました。
しかもラストの引用がとてもクールで、いや~もうさすが達人芸。
山田風太郎はとにかく奇想ネタを取り上げられることが多いですが、
その目くらましに惑わされてバカバカしい、
取るに足らないなんて思っていると、
人間心理を深く洞察する炯眼に痛い思いをさせられます。
山田さんは喜劇(下ネタ、イロモノ)を悲劇に
転化してしまう腕の持ち主なので、
そのギャップとどこか滑稽な面白オカシさ、
でも何とも言えない切なさを描くのがとてもウマいのである。


オススメですよ『剣鬼喇嘛仏』、こういう作品を
書ける作家はほかにはいない。
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SKIN:Babyish-
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