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明治波濤歌〈下〉 明治波濤歌〈下〉
山田 風太郎 (1997/09)
筑摩書房

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「切腹禁止令」「築地西洋軒」
「横浜オッペケペ」を読みました。
「巴里に雪のふるごとく」は既読。
『明治波濤歌』と題している通り、
海を越えた海外での話、または外から来る人、
外へ旅立ってゆく人の物語で、

「波濤は運び来たり
 波濤は運び去る
 明治の歌…」

という言葉がとても感慨深い。
最近忍法帖やミステリより明治物が
好きだと以前書いたけれど、
昔は忍法帖を読むときドキドキワクワクし、
ページを繰るのが楽しくてしょうがなかった。
今では、明治物がそうだ。
もうおもしろくってしかたがない。


「切腹禁止令」
序盤、凄惨な切腹シーンの描写の迫真性とは
うってかわって、ラストの風太郎らしい
ギャグ一歩手前のオチがいい。


「築地西洋軒」
例のあの男(笑)を追ってエリスが日本まで
やってきたというのは有名な話ですが、
実は私もそこまでの覚悟で日本に来たエリスが
なぜ帰ったのか、とても気になっていた。
次々に起こる決闘の裏事情を鮮やかにいとも
簡単に看破してゆくエリスだが、じゃあ何で
例の恋人の嘘を見抜けなかったのか、
そこがおもしろい(笑)


「横浜オッペケペ」
個人的に、明治物短篇で「巴里に雪のふるごとく」以来の、
いやそれ以上に大感動してしまった。
明治の奇人・川上音二郎と野口英世、
似た者同士の怪人を主人公にしながら
まったくストーリーがブレることなく、
しかもラストに「第三のエゴイズムの化物」が
明らかになり、海の向こうのアメリカへ旅立ってゆく
それぞれの偉人の姿を熟練の筆で鮮やかに描ききっている。
ラストの収斂の仕方に溜め息ばかりか、
うっとりと恍惚の域に入ってしまった。
すばらしい小説だ。
『明治波濤歌』に収められている短篇群は、
下巻だけでもまさに風太郎小説の
最骨頂と絶賛しても過言ではないような気がする。
風太郎に感謝したいくらい、読書の
愉悦をおもいきり味わわせてもらいました。


明治物の中でも、いや忍法帖、ミステリなど
風太郎の全ジャンルをひっくるめて
「横浜オッペケペ」と「巴里に雪のふるごとく」が
もっとも好きな作品になるかもしれない。
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